ビリヤニを頬張るには?
ビリヤニ定食を出す様になってから、そんな声が聞かれるようになりました。
長粒種といっても、お米はお米。なんとなく、いつもの感じでお米を頬張る感覚で味わえないかと考えるのも、確かにそうかなと思います。
チャーハンと違って、大きめのスプーンで山盛りにすくっても、口の中に入るとまだ余裕がある感じもします。
言われてみれば確かに……。ということで、ビリヤニを口の中に入れる量が自由自在になる工夫はないものかと考えていたら、ある日、ライスペーパーで巻いてみるのはどうかというアイディアが、ちょっとした雑談の中で出てきました。
早速やってみたところ、これがなかなか良い感じ。生春巻きと同じ感じで、パクチーなどの彩りも効かせられるうえに、とにかくビリヤニをもぐもぐと頬張れます。
ところが、なかなか一筋縄ではいかないのが、ライスペーパーがべたつくという問題。
時間が経つと、くっついてしまって、なかなか難儀します。ライスペーパーが破れるとビリヤニがこぼれてしまうため、頬張る筈が用心しながら食べることに……。
店内というよりも、イベントやテイクアウトでの提供はどうかなと考えていたこともあり、時々何か思いついては、試してみるという試行錯誤の連続でした。
ライスペーパーで普通に試せそうなことは、一通りやってみたものの、突破口発見とはならず、ロールを巻いて出す包装の方で工夫するのか……。などとも考えて、なかなか決定打が出ないまま、時間が経っていました。
そんななか、ちょっとした当たり前の発見とでもいうのでしょうか。
おにぎりを食べていて、ふと気がつきました。
ビリヤニをいい感じで口に頬張りたいというのも、何かでまとめてしまえばどうかというのも、要はおにぎりです。
ビリヤニを直接海苔で巻いてもなかなかまとまらないので、これまでと同様ライスペーパーで巻いて、それをさらに海苔で巻けば、湿気は海苔が引き受けてくれる筈。
こうして、ライスペーパーがくっつく問題は一気に解決して、こあきの「元祖ビリヤニロール」が完成しました。
こあきのビリヤニは、店主がパキスタンカレーの師匠から直に習ってきたものですが、レシピ通りでも、ちょっとした加減の積み重ねのせいか、不思議と日本風なテイストになります。
海苔の風味とビリヤニのスパイス感。全く喧嘩しないどころか、頬張って食べる感じの納得感が少し向上して、試食してもらった常連さんが、思わず笑ってしまう現象も沢山目撃しました。
ライスペーパーにいろんなものを巻いてみるのが流行っている様ですが、この工夫、世の中で広がらないかとちょっと期待している店主です。