カレーをリニューアルします。

いわゆるスパイスカレーを作っていると、お肉は手に入りやすさもあって、チキンカレーになりがちだし、イミズスタンではマトンも美味しくてため息が出るわけですが、先日、ひょんなことから豚肉のとある部位が手に入りました。
さっそく、どんな感じのお肉なのか試そうと、煮てみたところ、脂も思いの外少なく、しつこさがないし、なにより柔らかいのです。
かなり使い勝手良い豚肉だということで、いろいろな使い方を考えたのですが、問屋さんに確認したところ、安定して入手できそうということなので、これはもう、付け合わせや追加の小皿ではなくて、メインのメニューに持ってこようということで、カレーのリニューアルに踏み切りました。

赤丸でこあきを再開して以来、カレーはスパイスカレーなのですが、これはやはりビリヤニのレシピを伝授してもらったアルバラカからのイミズスタンな影響。
ハラルなので、豚肉は使いません。
しかし、店主がこれまで食べ慣れてきたカレーといえば、おうちの味。豚か牛か鶏……。
インド、パキスタン系のカレーを食べ慣れてくると、ポークカレーを食べたときの豚の感じは、和カレーの味の記憶の重要な部分になっている気がします。
カレーを食べた満足感をどこに求めるのか。
今回手に入れた豚肉を煮て、軽くスパイスを合わせてみたところ、慣れ親しんできた、なんとなく安心感のある味になりました。このまま、安心感と満足感がつながる辺りの美味しさを探ってみようと、そんな風にカレーのイメージが膨らんでいきます。

この、しつこくない柔らかい豚肉を、こあきのスパイスカレーに仕立てていくとすれば、口に入れてスパイスの鮮烈さを感じているところに、ポークの風味が後追いしてくるのがわかる様にしよう。
そして、ナンやロティではなく、スパイスを楽しむ、ご飯のカレーというのは、どんな風だろうかと、そんな調整を経て、こあきらしい味のポークカレーに辿り着きました。

誰でも安心して食べられるものを、お店としては出していきたい……。というのもありますし、店主は実は辛いのがなかなか苦手で、辛いカレーには苦労する方です。
これまでのカレーも、少しだけ辛目のつもりでしたが、意外と辛過ぎて食べられないというお客様もおられたので、辛さはあくまでも優しく、とにかく最後まで、食材のいろいろな香りや味の交錯が楽しめる、優しい辛さのポークカレーに仕立てています。
スパイスカレーはちょっと辛いイメージがあって手を出せないでいたという皆さんはもちろん、スパイス好きな皆さんにも、辛さだけでないスパイスの面白さを楽しんでいただける仕上がりになっています。
ぜひ、ご賞味ください。