マフィンの中身

季節が変わって、マフィンの中身はキャラメルりんごと酒粕から、手作りいちごジャムと酒粕に変わっています。

今年は自家栽培で、無農薬、自然栽培のいちごを使ったいちごジャムです。
おちついた感じの、ふくよかさで、いちごらしいところに、ふわりと酸味も加わって、しつこくない加減で楽しめる味わいになっています。
ヘタをとって綺麗に洗ったいちごを分量の砂糖を一晩まぶしておくと、煮る時に一気に水分が出てくれて、煮る時間も短くなって、粒もそのまま残りやすくなるので、仕上がりがとても綺麗なジャムになります。

この後、いちごジャムがなくなり次第、手作り文旦マーマレードに切り替えていきます。

文旦マーマレードの作り方をざっと紹介すると、こんな手順になります。

  1. 文旦の皮、厚みのある白い内皮をスプーンなどで取って2、3ミリに切って重さを量ります。
  2. 果肉を5房くらい、種をとって出汁パックの袋にいれておきます。
  3. 砂糖の量は文旦の皮の量の1.5倍くらいを目安にして、好みで調整します。
  4. 文旦の皮を5分くらい熱湯で茹で、水でよく揉み洗いして絞っておき、砂糖、果肉、種を入れて煮ます。種はペクチンの成分を含んでいるので、果汁が固まる効果があります。

柑橘系のきりっとした味わいのマーマレードです。こちらも乞うご期待。

酒粕を手に入れて以来、これをいろんなことに使ってみようということで、あれこれ挑戦しているのですが、ひょっとして、マフィンに少し仕込んだら、ジャムの風味だけではちょっと遊びが少ないところに、効果的な変化が加わるのではないだろうかということで、生地自体に練り込んでみたり、ジャムに添えるように混ぜてみたりと、ちょっとした試行錯誤を繰り返しています。

なにより、狙いとしては風味を加えたいことですが、酒粕は、それ以外の影響も大きくて、マフィンの膨らみが思ったよりも悪かったり、そもそも香りが消えてしまうなど、あれこれ研究を続けていますが、酒粕で加わるちょっとした変化が、なかなか素敵にジャムとハーモニーになりやすく、焼くたびに、「よし!……でも、もうちょっと……」となっている店主です。

山菜をゆっくり使う

先日、塩蔵してあるタケノコ以外は、この春の山菜を使い切りました。
さて、来年だなと思ったわけですが、そういえば、山菜は結構茹でて保存して使っていることに気がつきました。

春がきて、山菜の時期になると、春に体を起こすために、アクのあるものを食べるのかもしれないという説を思い出しながら、なにはともあれ、冬が終わって、植物が出てきたら、とりあえず食べてみたいよね。と、毎年せっせとアク抜きをします。

アク抜きが必要ないものはコゴミ、5月の下旬ごろが盛りのヨシナは、実はアク抜きがいらない使いやすい山菜です。新しければ、葉っぱもさっと取れるので、茎だけにして茹でるだけなので、抜群の使いやすさです。
例えば塩昆布と和えたりすると簡単に食べられますが、動物性の脂とよく合うので、鶏などとも合わせても、美味しくいただくことができます。

フキやワラビはしっかりアクを抜く必要があり、重曹などを使ってアクを抜き、ワラビは穂先を取って、一度煮てから冷蔵庫で保存します。
アクを抜いただけの状態で保存するよりも、一度味を付けて火を通しておく方が、結構長持ちしますし、春先であれば、チルドで一週間ほど置いておくことができて、そのまま炊き合わせや、昆布締めでもよいし、和え物にも使えます。
ちょっと残念なのは、山菜は冷凍すると、解凍した時に水分が抜けてしまい、繊維しか残らないものが多く、ワラビもヨシナも、なかなか冷凍して保存というわけにはいかないのでした。

他にもあれこれ山菜はありますが、ワラビと同じくらいお馴染で手に入りやすいとなると、やはりタケノコでしょうか。
こあきのある高岡の赤丸の近くには、タケノコの産地として名高い西田がありますし、春は、氷見の友人知人から、タケノコ要らない?とよく連絡がきます。

タケノコのアク抜きには、米糠や重曹などいろいろ方法はありますが、こあきではとりあえず先に皮を剥く様にしています。皮がなければ、アクが出やすくなるし、火も通りやすくなって省エネにつながるかなと思います。
それでも、タケノコはアクが残りやすい方だと思います。水煮にするよりも、扱いやすい大きさに切り、薄く味をつけて煮て冷蔵庫で保存します。
使い切れない場合はアク抜き後、塩蔵にします。これでタケノコは一年中使う事が可能になるのです。ありがたいです。

山菜全般に言えることですが、タケノコもまさに、天ぷらに使うと、舌の味蕾を油がコーティングの役割を果たして、アクを感じにくくするという効果が期待できます。
山菜の天ぷら、美味しいですよね。

旬だということで、バタバタとがんばって消費するのではなく、水煮にしたり、薄く味付けして保存しておけば、春のはしりから名残りまで、あれこれ工夫しながら、ゆっくり楽しんでみられるので、ぜひお試しください。

カレーをリニューアルします。

いわゆるスパイスカレーを作っていると、お肉は手に入りやすさもあって、チキンカレーになりがちだし、イミズスタンではマトンも美味しくてため息が出るわけですが、先日、ひょんなことから豚肉のとある部位が手に入りました。
さっそく、どんな感じのお肉なのか試そうと、煮てみたところ、脂も思いの外少なく、しつこさがないし、なにより柔らかいのです。
かなり使い勝手良い豚肉だということで、いろいろな使い方を考えたのですが、問屋さんに確認したところ、安定して入手できそうということなので、これはもう、付け合わせや追加の小皿ではなくて、メインのメニューに持ってこようということで、カレーのリニューアルに踏み切りました。

赤丸でこあきを再開して以来、カレーはスパイスカレーなのですが、これはやはりビリヤニのレシピを伝授してもらったアルバラカからのイミズスタンな影響。
ハラルなので、豚肉は使いません。
しかし、店主がこれまで食べ慣れてきたカレーといえば、おうちの味。豚か牛か鶏……。
インド、パキスタン系のカレーを食べ慣れてくると、ポークカレーを食べたときの豚の感じは、和カレーの味の記憶の重要な部分になっている気がします。
カレーを食べた満足感をどこに求めるのか。
今回手に入れた豚肉を煮て、軽くスパイスを合わせてみたところ、慣れ親しんできた、なんとなく安心感のある味になりました。このまま、安心感と満足感がつながる辺りの美味しさを探ってみようと、そんな風にカレーのイメージが膨らんでいきます。

この、しつこくない柔らかい豚肉を、こあきのスパイスカレーに仕立てていくとすれば、口に入れてスパイスの鮮烈さを感じているところに、ポークの風味が後追いしてくるのがわかる様にしよう。
そして、ナンやロティではなく、スパイスを楽しむ、ご飯のカレーというのは、どんな風だろうかと、そんな調整を経て、こあきらしい味のポークカレーに辿り着きました。

誰でも安心して食べられるものを、お店としては出していきたい……。というのもありますし、店主は実は辛いのがなかなか苦手で、辛いカレーには苦労する方です。
これまでのカレーも、少しだけ辛目のつもりでしたが、意外と辛過ぎて食べられないというお客様もおられたので、辛さはあくまでも優しく、とにかく最後まで、食材のいろいろな香りや味の交錯が楽しめる、優しい辛さのポークカレーに仕立てています。
スパイスカレーはちょっと辛いイメージがあって手を出せないでいたという皆さんはもちろん、スパイス好きな皆さんにも、辛さだけでないスパイスの面白さを楽しんでいただける仕上がりになっています。
ぜひ、ご賞味ください。

こあきのビリヤニは「和風」かもと言われるので

富山県は、イミズスタンとよばれるほどに、インド、パキスタン系のカレー店が数多く存在し、ひと昔前と違って、カレーを食べる人も増え、本格的なカレーを提供するお店が更に増えていく感じになっています。

こあきのビリヤニのレシピも、ルーツはイミズスタンの名店、「アルバラカ」の直伝なのですが、これも丸の内で営業していたころに、偶然お魚を食べにきてくれたのが始まりで、いまもあれこれと交流があります。

レシピどおりに作っても、作る人のほんの少しの加減で違ってくるのが料理。
どういうわけか、こあきのビリヤニは、イミズスタンよりも和風で食べやすいという感想をいただきがちですが、どうしてかなと思っていました。
これまでは、付け合わせはなんだかんだでこあきの副菜なので、その風味のせいだろうか……。ぐらいに感がていたのですが
最近、確かに付け合わせだけでなく、なんとなくダシみたいなことを考えていると気づきました。ひょっとしたら、これがこあきのビリヤニがちょっと和風に感じられる秘密かもしれません。

富山県の春といえば、やはりホタルイカです。
これまでも、白エビのビリヤニはご好評いただいているので、旬に合わせてホタルイカのビリヤニを作ってみるとしたら、と考えた時に、自然とホタルイカを引き立てるベースになるものをあれこれ思い浮かべていました。
以前、海老のカレーを作った時に、なんの気なく余っていたホタルイカを入れたところ、海老の風味が全く消えてしまった経験があります。
ホタルイカだけで作るとどうなるんだろうということで、ホタルイカだけを入れるのもいいですが、そこは折角なので、ホタルイカの風味を引き立てる役割のものがないか、試してみたいところ。
こうしたスパイスではないところの模索も、なかなか楽しいものです。

カレーは、イギリスに渡って日本に伝わって、すっかり日本食になりましたが、長粒種のお米を使うビリヤニも、あれこれしているうちに日本に定着する形に変化していくでしょうか。
なんとなくそんなことを考えています。
そういえば、ビリヤニに付けているカレーにも、ちょっとだけ隠し味を入れてあります。あるとないでは、少し風味が違うので、この方法を発見して以来、入れないと物足りなく感じる様になりました。きっと、こうやっていろんなレシピが、作り手が作り慣れ、食べ慣れている料理の方に引っ張られていくのだと思います。

こあきのビリヤニ教室、毎月開催しています。
詳しい日程は、その都度SNSなどでお知らせしますので、ぜひお問合せください。
4人以上でお申し込みいただければ、お店の営業時間外にも、教室の開講できますので、そちらもご利用ください。

菜葉のあれこれ

そろそろ時期も終わりますが、春になると菜葉がたくさん出てきて、これが手に入る様になると、いよいよ春だなと感じます。
春だなぁ、菜葉だなぁとひとまとめにしてしまうとちょっと大雑把すぎるくらいの種類がありますが、ずっと「菜葉持っていかれ」と言われて、なに菜か聞かないままで食べたりして、改めて種類を聞くと、初めて聞く種類の菜葉だったりもします。

アブラナ科のいろんな種類の野菜が花芽をつけて茎がのびて、「とう立ち」の状態になるのですが、それを食べるわけです。
ほんのり辛味を感じるからし菜や、わさび菜は、そもそもとう立ちした状態を食べるために作られる菜葉ですが、普段は別の部分を食べているけど、とう立ちしたところも食べられるアブラナ科の野菜もあります。
例えば、大根は根っこ、ブロッコリーはつぼみ。カブは実は茎が変化した部分で、あの丸い部分からちょっとのびているのが本当の根っこです。キャベツはまず茎が伸びずに葉っぱだけが育って球状なるので、その部分を食べています。

ポキポキと茎を折って収穫する折り菜は苦味の少ない素直な味で、ペペロンチーノ的な炒め物にもぴったり。カブの菜花は柔らかくてお浸しに向いていますが、少しクセがあります。
白菜の菜葉、大根の菜葉、カブの菜葉など、それぞれに個性があって楽しめますし、アブラナ科ではないですが、ニンジンも花芽をつけます。こちらも結構はっきりとニンジンの風味がして美味しいです。

店主は、茎が硬い感じの歯応えも好きですが、ちょっと食べにくいと感じられるかたもおられるでしょうか。大根などは、そのうち毛が生えはじめてとても硬くなるので、その前にいただきます。
先ほどのおり菜のペペロンチーノ風はパンチが効いた味になりますし、人手間ランチの副菜に加える簡単な和物として、他にもこんなレシピで菜葉を利用しています。

蕪の菜花の酒粕と味噌の和え物
菜花は茹でて絞って一口大に切る。
味噌大さじ1/2、酒粕を小さじ1、お砂糖小さじ1で、これを全て合える。
蕪の菜花の柔らかさとクセをシンプルにいただきます。
酒粕が苦手な方は、練り辛子を少々入れることにしてもまた違った風味が楽しめます。

こあきでは、不定期ですが副菜教室も開催しています。
グループでご希望があれば、水曜日や木曜日の昼間や土日祝日の夜などでも開催しますので、ぜひお問い合わせください。

タコスを作ってみる実験。

トリッパは、丸の内で夜の居酒屋営業もやっていたころも人気のメニューでした。
赤丸に移転してからも、たまに作っていたのですが、ビリヤニロールをやってみるまで、トリッパをうまくテイクアウトにしてみたり、またメニューに加えるとしたら、どんな方法がありそうかなと、あれこれ模索していました。
こあきのSNSで、トリッパロールの試作写真をご覧になったかたもおられるかと思いますが、なかなか、フラットブレッドやガレットなどを試してみてはいるのですが、巻いてみるものに決め手がなく、正式にメニュー入りには至っていないという状況です。

先日、仕入れに行ったところ、「タコスキット」なるものが、割引で売られていたので、思わず購入してみました。
セットには、サルサのベースになるトマトソースと、タコス風になる調味料と、パリパリなタイプのトルティーヤが入っている様子。クリスピーなタイプのトルティーヤとはいえ、ひょっとしてこれはロールの参考になるのでは?と思って、早速タコス的なものを作ってみる実験をしてみました。

タコスといえば、サイコロに切ったトマトとパクチーとスパイシーなお肉という感じの大雑把なイメージしかない店主ですが、お肉や魚をちょっと挟んでいろいろ食べてみました。
パリパリのトルティーヤの感じは、サラダでお馴染みだったものの、千切りの野菜を挟んでみると少しうるさい感じもして、トマトの役割の大きさを実感できます。
そしてやっぱり、手を汚さずに、お行儀良くは食べられないのが困ったところ。
調べてみたところ、皿と並行にして持ち上げ、首を傾けて横から一気に食べれば良いらしいのですが、なかなか難しいです。

しかし、いろいろ試してみたところ、ちょっと思いついたことがあったので、こちらも実験してみましたが、流石におなかいっぱい。試作の時は、胃袋の容量も重要な要素です。
さて、今回の成果が新たにメニューに加わる日がくるかは、これからの試作次第……。

こんなお仕事も……。

頻繁にでもないですが、レシピの監修や、食材の調理例を作る依頼を受けることがあります。
食材も様々で、単純に、ちょっとレシピを考えみて欲しいという依頼から、農産品の六次化に向けて、こんなものを作ってみているのだけれど、実際に使って、何かを作ってみるとしたら、どんな使い方が……。という料理をイチから考えるものから、撮影の時に、ちょっと見た目の良い感じの料理が盛り付けられていたら、様になるのだけれど……。など様々。
こあきで作ったものを食べていただく、オードブルやお弁当のご注文の場合とは違う意味で、やることが違うので、いろいろと普段とは別の頭を悩ませることになります。

先日は、とある乾麺のホームページ用の商品撮影をお手伝いしました。
うどん、そば、そうめんのラインナップなので、温かいもの、冷たいものとを用意しつつ、トッピングや盛りつけをどうするのかなどを考えます。
なんとなく見栄えを保ちつつ、主役は麺だけど、貧相にもならない様にと思うと、なかなか選択肢が厳しい感じで、どうしたものかというところ。

主役が「麺」ということで、それはそれでわかりやすいだけに、器えらびもむしろ、こういうのがあれば良かったかも、こうならもっと収まりがよかったのでは……。と、手持ちの器をひっくりかえして、あれこれ、器が増えていく感じのことを考えてしまいました。

西日が入り始める午後の時間は、店内の自然光もなかなかいい感じで、なかなかお料理写真向き。今回も、結構いい感じの写真が撮れた様です。
こういう撮影の時作ったものはだいたい、撮影後にスタッフが美味しくいただくのですが、店主も少し麺をいただいたところ、なかなか特徴のある美味しさ。
こちらはまた、機会があればご紹介します。

大根のはなし

大根は、農林水産省がいつでも手に入る様にと値段を安定させる用に定めている指定野菜のひとつで、スーパーで年中手に入る野菜です。
とはいえ収穫時期から、春大根は4月から6月ごろ、夏大根は7月から9月ごろ、秋冬大根は10月から翌年3月ごろに分けられます。

スーパーで出回っているのは主に青首大根です。
家庭菜園などで作られる紅芯大根や紅くるりといった品種は、赤い色が美しい品種で、サラダなどによく使われます。
この赤みの正体は、アントシアニンという天然色素で、熱を加えると色がなくなってしまいますが、酢に漬けると全体に赤みがまわって、とても鮮やかな色になります。彩が良いので、こあきの副菜でもよく使います。

富山県のお隣の石川県で作られている加賀野菜には、源助大根という大根があって、おでんで使うにはよく合います。お隣の県で作られているとはいえ、なかなか見かけない品種なので、たまに手に入るといろいろ使ってみるのですが、煮て食べるのが良さそうな感じです。

大根はいろいろな使い方ができて、生でもよし、火を通してもよし漬物も乾燥しても、なんでもこいです。
先日、切り干し大根を揚げると美味しいと聞いて、軽く衣をつけて揚げてみました。切り干しはほんのり乾燥した大根の食感も残りつつ、サクサクと面白いものになりました。ついでにスティック状にした大根に塩胡椒して唐揚げにしてみたところ、火の通った大根のホクホクした感じがとても楽しい仕上がりになりました。
大根の風味や食感の多彩な変化には驚かされます。

こあきでは、とれる時期に作っている人から直に仕入れることも多いので、大根もまるごといただいて、菜葉もよく使います。茹でてから刻んで冷凍保存しておきます。これを味噌で炒り付ければ富山県の郷土料理で「よごし」になりますし、彩りにも便利だったりします。

大根を利用したこあきの副菜は、何種類かあります。定番化しているものもあれば、あれこれ作り方を試しているものもあります。
実は大根の味噌汁の風味が店主の好みだったりもするので、出会う頻度も高いかと思います。
いろいろな形に姿を変えた大根をお楽しみください。

スパイスを使ってみる

こあきでは、スパイスを小分けにして販売しています。
富山県は、イミズスタンと言われるスパイスカレーの先進地。中古自動車の輸出入を盛んにやっていた時期に、パキスタン系のカレー店がチラホラと出店し、今ではすっかり定着しています。
ビリヤニ教室の後や、副菜のレシピをお教えした際に、使っているスパイスはどこで入手したら良いかと聞かれることが多かったので、お店で使っているものを一回の料理で使いきれる分量で小分けにして販売しています。

こあきのメニューでスパイスといえばビリヤニやカレーはもちろんですが、チャイやシフォンケーキ、甘酒マサラサンデーなどのカフェメニューや、ランチの副菜にちょっとあしらったりしています。
スパイスといえば、なんとなく「辛い」と考えがちですが、どちらかというと辛味よりも風味に変化を加える役目を果たしてくれるものです。
シナモンやカルダモンにはそれぞれ独特の甘い香りがあり、香辛料の「香」の部分に目を向けてみると、いろいろな広がりがある様に思います。

ランチの副菜では、なんでもない見た目を少しだけ裏切る風味を楽しんでいただけるかなと、いろいろ工夫しています。
これはカレーっぽい?これは中華風?と、香りをつかまえてみてください。

定番の副菜『焼き蓮根の酢漬け』は、レンコンを5ミリほどの厚さに切って、胡麻油にまぶしてから、フライパンで焼いています。
火の通しかたとしては色が変わる程度で大丈夫ですが、焼き目がつくまで焼けば、香ばしさが出て美味しくなります。
レンコンは、火の通り方で食感が変化します。色が変わる程度なら食感がシャキシャキと歯応えが残っていますし、時間をかけるだけその感じがなくなっていくので、お好みに応じた加減を試してみてください。

『焼きレンコンの酢漬け』
レンコン……300g
ごま油……大さじ1

酢……100g
水……50g
砂糖……30g
醤油……30g
八角……1個
とうがらし……1本

酢漬けの酢は、上記の分量で混ぜて、焼いたレンコンを漬けます。
甘酢、醤油の風味に八角の香りと唐辛子の辛味が入って、スパイスの仕事を感じさせる奥行きが出ます。
八角ととうがらし無しで作ってみると、実感しやすいレシピなので、ぜひお試しください。

そんなわけで、もうちょっとささっと出して見せられる様に、棚を工夫しました。
小分けスパイスメニューもあるので、スパイスがご入用の時は、お声がけください。

好き嫌いと調理

「人手間料理」なんて看板でお店をやっておいて、意外なことでもないとは思いますが、調理するのは好きな方で、気がつけば調理師だったり、野菜ソムリエプロの資格を持っていたりします。
ただ、正直なところ、食べ物の好き嫌いは多い方だという自覚があります。

アレルギーで食べられないものはさておいて、好き嫌いというのも意外と厄介なもので、単に美味しいと感じられないということなら、いろいろなものを食べているうちに、好みが変化していくこともあるかもしれません。
野菜などは、品種改良で昔よりも味が丸く、食べやすくなっている様に思いますが、食材の食感や特徴的な部分がそもそも嫌だということになると、なかなか厄介です。

すりおろしたりして、それが入っていることがわからない様に混ぜてしまうのでは、その食品に含まれた栄養だけを取っているのと変わりないので、やはりなんとかして、その食材を「食べた」という感じになる様にできないかの工夫が調理の出発点になります。
どうやったら、この感じが嫌いだなぁという食材の「嫌いな部分」を上手くカバーすることができるのか。そこから更に「美味しい」までつないでいくことができないか。料理にかける手間というのは、そうやって、より美味しく食べるためにもあると思います。

こあきの副菜では、結構そんな食材を使っていて、どうやって無駄なく美味しく食べるのかをあれこれ工夫して、形になったものがあります。
「家ではあまり好んで食べてくれないものを、パクパクと平らげてくれてびっくりした」という風に言っていただけると、心の中でガッツポーズを出しています。

店主が嫌いなものが何か、実際に食べて推理してみてください。
不定期ですが、副菜の料理教室も開催しています。また、何名かで受講したいという希望があれば、開催可能です。お気軽にご連絡ください。